国産材利用ツーバイフォー住宅100%継続への取り組み
「いまある山の木をつかうことを100%継続することを目指します」
1964年の木材関税自由化から急速に増加した枠組み壁工法(通称ツーバイフォー)の住宅は、在来工法の住宅に比べて殆どが輸入材に依存しています。国土の67%が森林と言われる日本ですが80%の森は使われず、国内林業は衰退し、地域の不活性化だけでなく国産材の価格の低迷や山村・限界集落問題、森林災害などの原因にもなっています。我が国の木材自給率は少しづつ上がっていますが3割程度に留まっています。
日本の山が完熟期を迎えた現在、ツーバイフォー住宅に少しでも国産材利用を高めていきたいと考えています。堅固な構造のツーバイフォー住宅ですが、使える国産材は限定され大壁という構造仕様により木が見えなくなってしまいます。そこで構造材そして外壁材に国産材を採用することを考えています。現在では外壁材、一部内装材フローリングに信州カラマツ材、一部構造材(縦枠材)に八溝山系の八溝杉を提案させて頂いております。特に信州カラマツを使った外壁については、時間とともに変化する経年変化が家にこれとない味わいと景観との馴染みを生み出しています。
信州カラマツ材が外壁材T&Tになるまで
針葉樹でも落葉するカラマツ(落葉松)。標高1000m以上で育つカラマツはここ信州から林業を通じて全国へと広がっていきました。油分も多く耐候性に優れたカラマツは建材として湘南でも多く採用されています。
ソマミチツアーでは木こりによるカラマツの伐採を見ることができます。伐採前に祈りを捧げます。今こうして立派なカラマツを伐採できるのも苗木から手をかけて育んできた先人のお陰だと思います。
ハーベスターによりトラックに積み込まれる4mに輪切りされたカラマツ。日本の山の作業道事情により4mが基準になっています。
一本の丸太から多くの材を生み出しロスをどれだけ減らすかが製材業の要ともいえます。信州では人工林の7割が間伐期を迎え、その大半を占めるカラマツは外壁材T&Tや構造材に加工されておりますが、日本全体では3割しか使えておりません。枯れゆく森林とこれから見据える日本の林業は私たちの木を使う仕組みにかかっています。
減圧乾燥炉を使って一定の含水率まで下げる工程は製材安定性の命とも言えます。材の捩れが強く土木用材にしか使われなかったカラマツが技術の進歩により美しい建築用材として生まれ変わりました。
歩留りを抑える為に節を止める作業や抜けてしまった節を埋める作業も人力で行われております。木材は工業製品に分類されますが、これだけの手間がかかっています。
17種類もある屋外用自然塗料で個人住宅の外観をカスタマイズ。色を主張しながらも景観に溶け込む木の外壁は湘南でも人気の商品です。
全て手作業で二度塗りをします。日照条件や雨により色味が変わるのも魅力の一つ。色に使われる鉱物の残り具合により予想を超えた色味の変化をしていきます。
新色フォレストオーシャン。木目と肌触りは圧倒的です。写真は神奈川県茅ヶ崎市の黒松の陰が美しい信州カラマツの外観です。
カラマツはその木目と経年変化の美しさに尽きます。石油製品は作った瞬間から経年劣化が始まりますが、年月を追うほど味の出る経年変化を楽しむ暮らしは木の家の醍醐味です。木は腐ると思われがちですが、しっかり正しい施工をすればほとんどがメンテナンスフリーです。